針の指し方
輸液を始めるにあたっての最大の難関は、刺針(ししん)だと思います。
以下のイラストと説明文は、じいやさんからご提供いただきました。
うまくいった例
三角テントを作ったら、垂直と並行の間ぐらいの角度で刺すと図のように刺さります。
うまく針が入っているときは、ジャンジャカとスムーズにシリンジが押せます。
失敗しちゃった例
皮に並行に入れすぎると、皮下ではなく皮の間に入ってしまいます。
そうするとパツンパツンの輸液ダマリができてしまいます。
皮が張っているので、パツンパツンの輸液ダマリがビクビクっとすることがあります。
うまく刺せていないときは、シリンジ押すのに力がいります。
図では皮下の中で出血していますが、刺した瞬間に皮からほんのちょっと血が出ているだけです。
少ししか出ていなくてもアルコールなどを浸したコットンで拭くと、いっぱい出ているように見えます。
血は放っておけばカサブタになるだけです。
輸液ダマリは、いつもよりは時間がかかりますが吸収されるはずです。
ただし、いつもより違和感を感じてしまうと思います。
無理にマッサージすると痛がるコもいます。
たまにはこんなこともあります。誰だってあります。
輸液に慣れる過程では誰しも経験することです。
進むために必要なことで、気にしてはいけません。
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・・・管理人より・・・
◆ 針の位置の確認方法
刺したあとに、つまんでいる針の頭を軽く左右に振ってみます。
針が正しい位置に入っていれば、針先は皮下で動きます。
針先がホールドされているかのように動かなければ、皮下のどこかに刺さっている可能性が高いです。
また、シリンジを使っている場合は、ピストンをそっと引いてみます。
もし皮膚を突き抜けてしまっていたら、シリンジ内に空気が入ってきてしまいます。
抵抗がありピストンを引けなければ、皮下内に収まっています。
誰だって失敗することはあります。
私は獣医さんが刺針に失敗したところ(針先が皮を突き抜けた)を、目の前で見ました。
あるいは、慣れて上手になったと思っていたら、ある日突然、失敗が続くようになることもあります。
私は輸液スランプと呼んでいますが、そういう時期もまた、多くの人が経験します。
でも、大丈夫です。
失敗すると猫に申し訳なくて気持ちがワタワタになってしまうのですが、猫さん自身はおそらく、世話人が気に病むほどは気にしていません。
そういうときもあるさ、ってことで、慌てず騒がず、深呼吸をして気持ちを落ち着けて、やり直しましょう。
イラスト&説明文を提供くださったじいやさんのブログ・『愛しいネコ・愛しいヒト』には、猫さんのケアや治療に関する情報がたくさん載っています。
面白楽しい記事もいっぱいです♪
猫の姿勢
手順のページの写真のように、箱座りか、横にごろんと寝てもらってもOK。
横にごろんは背中心がずれるためか、思っていたよりも身体のわきに針を刺している場合がよくあります。
そしてなぜか横っちょに刺した場合、針を抜いたあとに針穴から輸液が漏れてくることがあります(うちの場合だけかも?)。
注射の場所について
最初は獣医さんから、背中の真ん中あたりから上にするようにと説明されました。
のちに背中側だったらどこでも、横のほうでも、皮をつかんでビヨンと伸びるところだったら大丈夫と言われました。
吸収は落ちるけど、お尻でも、なんだったら脚からでもいいそうです。
しかし雨さんの獣医さんは、腰に近い下半身のほうが毛細血管が多いので、吸収が良いという説明だったそうです。
実際に、肩甲骨の間に輸液をしていたときよりも、腰に近いほうにするようになってから、吸収がずっと早いとのこと。
ただし、腰に近い場所は毛細血管が多いけれど、 肩甲骨の間よりも痛点も多い。
なので、 針を刺したときに、痛い確率はちょっと上がってしまうかも。
注射する場所を毎回変える
毎日の場合は、毎回注射する場所を変える。
昨日は上のほうだったら今日は下のほう。
明日は右側で明後日は左側・・・というように、なるべく場所を離す。
近くに続けて注射すると、炎症や内出血、皮膚の硬化を起こしやすい。
背中の皮をつまむとき
背中の皮をぎゅっと強くつまみすぎると、猫が動いたときに、つねったのと同じ状態になり、摩擦で赤い皮膚炎になってしまうことがあります。
私はこわごわやっていたせいか、つい力が入ってしまいがちでした。
飼い主さんも、できるだけリラックスしよう。
刺すのに失敗したら
かかりつけの獣医さんは、2〜3回なら同じ翼状針で刺し直しても大丈夫と言います。
抜いた針をエタノールで消毒して、それが完全に乾いてからやり直します。
ただし、もし血が逆流してきた場合は、針・シリンジ・中身の液、みんな新しいものに変えます。
針は刺すたびに針先が鈍って刺されたときに痛いそうなので、私は同じ翼状針を使うのは嫌でした。
何回もお願いして、もう最後には泣きそうになりながら懇願して、予備の翼状針を出してもらえるようになってからは、失敗したらすぐに新しい針に変えるようにしています。
・・・失敗しなきゃいいんですけどね。なかなかこれが。
刺し直す場合は、失敗した場所からちょっと離れたところにします。
理由は、すぐ近くに針穴が2つ開いていると、
1)そこから輸液が漏れやすい。
2)痛いかもしれない。
3)皮膚が硬くなったり炎症が起こらないように。
・・・などなど。
失敗して針を抜いたところも、消毒してね。
注射の傷について
もし注射の跡が赤くなったり、ひどい傷になりやすいようでしたら、皮膚を消毒してすぐではなくて、1〜2分待ってから(消毒した皮膚が完全に乾いてから)刺針したほうがいいそうです。
消毒薬が皮膚に浸透して殺菌する時間を十分に与えるため。
消毒綿について
以前はタッパーにコットンと消毒用エタノールを入れて、消毒綿を作りおきしていましたが、それはいけないそうです。
エタノールは揮発性なので、どんどん成分が飛んでしまうため、作りおきしても3日ほどしか持たない。
使うたびに新しく作るほうがいいと獣医さんに言われました。
消毒は不要?
皮下輸液の際の消毒は必要ないという獣医さんもいます。
ただし免疫力が大きく落ちている場合は、この限りではありません。
詳しくは体験レポート掲示板、『皮下輸液の際の消毒について』でどうぞ。
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